サンカといえば沖浦さんの『幻の漂泊民・サンカ』が分かりやすくて面白いですが、こちらもなかなか。沖浦さんとはサンカの出生時期などにおいて意見を異にするようですが、サンカに対して様々な理解や変容があったよ、という流れは分かりやすかったです。

サンカとは何か。それは実像なのか、虚像なのか、幻像なのか。これらの問いに正しく答えられる人物は、おそらく一人しかいない。山窩小説家、サンカ研究家として知られた三角寛である。三角は昭和初期にサンカに注目し、その存在を世に知らしめた。その後、サンカに関する情報を「独占」した彼は、昭和三〇年代にサンカの消滅を見届け、その歴史の終結を宣言した。これまでに語られたサンカ論の系譜を丹念にたどりながら、消えた漂泊民サンカ、そして三角寛という人物をめぐる謎に迫る。