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オペラシティ以来。やっぱり凄い。金沢の展示も見に行きたい。

《New Ocean: thaw》(2001年)では、抽象化の一歩手前とも言えるイメージが万華鏡のようにめくるめく映し出されます。そこに見えるのは、アラスカの景色、その空、解けゆく氷河です。自然の広大さに関連して生じる、ロマンティックな感情に迫るこの作品の投影形式(ほぼ半円形をなすように配置された3面スクリーンを2組設置)は、19世紀のパノラマ絵画を彷彿させます。しかし、エイケンが広大さの詩情を新たな視点で捉えている今この時は、環境の大惨事が際立つ21世紀の夜明けです。固定したイメージ(氷)であると同時に、動くイメージ(水)でもあるこの作品は、絶え間ない変化が発するエネルギーと風景のエントロピー的な 変質を通して、摩擦を生み出します。太陽は、色収差による光のフレアを呈して崩れ散乱する一方、氷河の音は編集され、電子音とミキシングされています。