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いろんな魅力が詰まった、軽いようで深みのある、読み応えがある作品だった。

物言わぬ犬の哀しみを抱きとめて、わたしは静かに言葉を紡ぎつづける。誰よりも心許せる初老の男友だちが自殺し、大きな空洞を抱えた女性作家の狭いアパートに、男が飼っていた巨大な老犬が転がり込む。真冬のニューヨーク。次第に衰えゆく犬との残された時間の中で、愛や友情のかたち、老いること、記憶や書くことの意味について、深い思索が丹念に綴られてゆく……。2018年全米図書賞受賞作。