短篇ながらどれも心に残る作品ばかり。解説のとおり、現代人の生き方ではなかなか体感することが難しい「大自然と共生」「生の力強さ」がありました。
流れるような文章で非常に読みやすくどんどん作品の世界感に惹き込まれます。賞を総なめにされているわけだ。

「山背」とは初夏の東北地方に吹く冷たい風のことをいう。その山背が渡る大地で様々な厳しい営みを続け、誇り高く生きる男たち。マタギ、漁師、川船乗り、潜水夫…。大自然と共生し、時に対峙しながら、愛する家族のために闘う彼らの肖像を鮮やかに描き、現代人が忘れかけた「生」の豊饒さと力強さを謳う九編の物語。作家の原点が凝縮された傑作短編集。