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ご縁で巡り会えた写真集や国内外の文学を中心に、たまに映画や音楽など。

W.G.ゼーバルト : 土星の環―イギリス行脚 (ゼーバルト・コレクション) ☆☆☆☆・

私が手に取る本はイギリス東部を舞台にした話が多い。一般的に多いのかな?
「土星の環」も一応そのあたりが拠点。一度ゆっくり訪れてみたい。

<私>はイギリス南東部を徒歩で旅し、過去何世紀にもわたる様々な破壊の跡を目にした。海辺で、資料館で、<私>の連想は、帝国主義時代のオランダの過去、ワーテルローの戦場跡を訪れた記憶、バルカン半島における虐殺の歴史、アフリカ大陸でのベルギーの搾取や略奪などへと続いていく。
<私>は旅先で多くの人びとと出会い、過去の様々な人びとを想起し、その生涯を辿る。コンゴで植民地主義の狂気を目の当たりにし、『闇の奥』を書いたコンラッド、「理想の国民」たる蚕を偏愛した西太后、フランス革命前後の激動をくぐり抜け、回想録『墓のかなたから』を書いたシャトーブリアン……。
最後に<私>は、中国からヨーロッパにもたらされ、各国で国家事業として育成された養蚕に思いをはせる。養蚕を国家意識高揚に結びつける企図は、百年後ナチによっても鼓舞されていた……。
思索や連想の糸がたぐられ、ヨーロッパ帝国主義による破壊と自然がもたらした災厄、古今の文人たちの生涯を辿っていく。誰も振り返らない往古の出来事、忘れられた廃墟が、時空を超えて呼び戻される。境界がなく、脱線と反復を真骨頂とする、ゼーバルト独自の世界。解説=柴田元幸

W・G・ゼーバルト : 目眩まし ☆☆☆・・


一度読んで、カフカ「狩人グラフス」を読んで、また読んで。
???。
「裸のランチ」なみの味わい。

スタンダールの旅、カフカの旅、「私」の旅…。時を超えて重なり合う旅のどこにも、永遠の漂泊者「狩人グラフス」が影を落とし、忽然として浮かび上がる過去の人物たち。目眩く惑乱が襲う謎めいた4つの物語。

W・G・ゼーバルト : 移民たち ☆☆☆・・

4人の移民たちのドキュメンタリー的物語。

感情表現が極端に少ない文章が、安易に感情移入/共感できない程の
”(それぞれの人の)歴史の重み”を強調しています。

異郷に暮らし、過去の記憶に苛まれる4人の男たち。医師、教師、大叔父、画家の人生を辿る。蝶を追う「ナボコフ」に導かれ、朽ちかけた建物、黄昏れたホテルを巡る旅路の果てには? 哀切を込めて語られる4人の生と死。

W・G・ゼーバルト : アウステルリッツ ☆☆☆☆・

こりゃすごい。
こんな作風の作品ははじめて。
内容は重い。しかも飾り気のない文章が段落もほとんどなく続く。
ゼーバルトの世界に完全に引き込まれた。
もう一度読み返したい。

 建築史家アウステルリッツは、帝国主義の遺物である駅舎、裁判所、要塞、病院、監獄の建物に興味をひかれ、ヨーロッパ諸都市を巡っている。そして、彼の話の聞き手であり、本書の語り手である〈私〉にむかって、博識を開陳する。それは近代における暴力と権力の歴史とも重なり合っていく。
歴史との対峙は、まぎれもなくアウステルリッツ自身の身にも起こっていた。彼は自分でもしかとわからない理由から、どこにいても、だれといても心の安らぎを得られなかった。彼も実は、戦禍により幼くして名前と故郷と言語を喪失した存在なのだ。自らの過去を探す旅を続けるアウステルリッツ。建物や風景を目にした瞬間に、フラッシュバックのようによみがえる、封印され、忘却された記憶……それは個人と歴史の深みへと降りていく旅だった……。
多くの写真を挿み、小説とも、エッセイとも、旅行記とも、回想録ともつかない、独自の世界が創造される。欧米で最高の賛辞を受けた、新世紀の傑作長編。

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    中村 直彦|naohiko nakamura 写真を見たり、撮ったり、好きな本を読んだりしてのんびり生きています。 写真のブログもあります⇒PHOTOWORM

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